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ネモ&竹内ジョンインタビュー:The Grind, The Game, The Goal, The Guidance

翻訳元:Team Liquid、2018年7/22公開

(引用元:Team Liquid



 ネモとジョンとの契約、それは我々のストリートファイターチームの継続以上のことを意味した。完全に新しい大地と文化への進出だったのだ。両プレイヤーとも情熱に溢れるプロフェッショナルであり、彼らがCPTのプレシーズンに落ち着いて取り組むであろうことは始めからわかっていた。とても独特な文化の、そしてゲームの聖地の出身であるというだけでなく、2人とも自分自身のスタイルとアイデンティティ、視点を持っている。


 ネモは昔ながらのプレイヤーだ。ゲームセンターで頭角を現し、今では様々なビッグタイトルをプレイしてきたベテランだ。年上であり、大舞台でのプレイも経験し、もの凄い数の固定ファンを獲得、そしてプロゲーマーとしての野望を果たそうとする一方でフルタイムで働き、戦いの世界の外でも輝かしいキャリアを持っている。

 他方、竹内ジョンは新世代。初めての格闘ゲームがストリートファイターVであり、友達と遊んだりオンラインでプレイして学んでいった。古き良きゲーセン文化とは関わりがなく、これまでに正式なスポンサーを受けたこともない。

 彼らの経歴の違いもあり、ネモとジョンのeスポーツに対する見方は — 多くのeスポーツファンと、そしてお互いに — 違っている。彼らがCapcom Pro Tourのために世界中を忙しく飛びまわり奮闘を続けるなか、我々は光栄にも、練習やゲーム、目標についての興味深い考え、そして助言を知ることができた。



The Grind (訳註:"grind" は "修行" に近い意味)


 初心者にとって、格闘ゲームは手をつけ難いことで悪名高く、極めるのは一層困難だ。機械的な技術と精神的忍耐力を適切なかたちで組み合せることが要求される。練習を欠かすことは出来ないが、その方法はプレイヤーによる。

ネモ:そうですね、ストリートファイターは元々アーケードゲームですし、主にそういう環境で練習してます。オフで他の人とプレイするのが好きなので。新しいゲームならオンライン機能がありますけど、僕がいつもプレイしてる人たちは普通一緒に集まってオフで練習してますね。
 効率的にやりたいので通勤の時間も動画を研究してるんですが、通勤時間がたった10分なのでそんなに時間はないです。仕事が終わった後には、大体オフで2〜3時間練習してます。風呂に入ってる時間や料理をしてる時とかも、頭の中で試合を振り返るようにしてます。



ジョン:1人での練習はそんなにしないですね、大体は他の人と対戦してます。その場で顔を合わせて試合のことを話せる方がいいと思いますね。もちろんオンラインでも話せますけど、その場にいる方が簡単なんで、オフでの練習の方が好きです。それに、ほとんどの大会はオフラインですし、オフの環境に慣れた方がいいと思います。


 先述の通り、ネモはストリートファイターの最高峰で戦いながら、同時にフルタイムでも働いている。格闘ゲームコミュニティで最も尊敬を集めるエキサイティングなプレイヤーの1人であるネモ、彼は — 我々にとって喜ばしいことであるが — どうやってその時間とエネルギーを得ているのだろう。

ネモ:ええと、まず、なんで僕が無茶苦茶忙しいスケジュールを続けられるかっていうと、それがすごい好きだからなんですよね。自分が大好きなゲームをやってるなら、そのプロになるために時間をかけて努力をするのも楽だと思うんです。とはいえ仕事は、当たり前ですけど、忙しい時もあって、そのせいで練習できない時もあります。
 どっちかっていうと僕は、目標をちゃんと持ってその達成のためにやらなきゃいけないことをしっかり考えさえすれば、うまくいくと信じてますね。

 これは仕事で学んだものなんですけど、僕はPDCAサイクル
(訳註:"Plan・Do・Check・Action" のサイクルのこと。日本語では一般的に、"計画・実行・評価・改善" と訳される。原文では "PCDA" となっているが誤植と思われる)を活用してます。こういった日中の仕事の経験を、プロゲーマーとしての目標のためにも応用してます。目標達成のためにこのプロセスを活用できるのが自分の一番の強みの1つだと思ってます。



The Game


 ストリートファイターVは、シーズンごと(およそ1年)のアップデート、そしてキャラの追加とバランス調整を通して継続的に変化していくゲームだ。これらの変更はキャラごとに大きく幅があったり、システム間の微妙な相互作用を生んだりすることもあり、プロプレイヤーに継続的に新しい環境に対応することを求める。

ネモ:今のキャラバランス(訳注:原文は "meta" で一般的には「使用率の高い強キャラ」に近い意味だが、文脈を考慮してこのように訳した)は良いと思いますよ。追加キャラも良いバランスですし、とても気に入ってます。なんですけど、今シーズンのキャミィは本当に強くなりましたし、自分のキャラ(ユリアン)は相性が良くありません。なので、もしキャミィに対して相性の良いキャラを出してくれたら、とても嬉しいですね!


ジョン:自分のキャラのラシードは最近弱体化されて弱くなったんですけど、全体のバランスはいいと思います。ラシードはそんなにひどく弱体化された訳ではないのでまだ戦えます。だからキャラ変更は考えてないですね。キャミィみたいな明らかな強キャラもいますけど、今のところはラシードで頑張るつもりです。


 どんなゲームでもそうであるように、ファンというのは何にでも、いつでも、熱狂的になるものだ。大会の結果からバランス調整など、まさに文字通り何にでも。我々のプレイヤーは "コメントを読む" ことがあるのか、それとも雑音は遠ざけているのかを知りたかった。

ネモ:みんなに「おー、ネモのプレイスタイルはワクワクするな」と思わせることを目指しているプロとして、コミュニティーの意見はとても大事です。僕がなりたいのは、みんながプレイを見て、「あんな風にプレイしたい」とか「あのプレイスタイル試してみなきゃ」と思うような人間。インスピレーションになりたいんです。


ジョン:新キャラについて知りたい時ぐらいしか、コミュニティーの意見を見たりはしてない気がしますね。すぐにキャラの強みや弱点がわかりますから、特に追加キャラは。



The Goal


 Capcom Pro Tourは1シーズン9ヶ月に及ぶ過酷なもので、地球上のそこかしこで大会が開かれる。最後に残るのはたった31名と前年度王者1名のみという、血と汗と涙の耐久レースだ。戦っている全てのプレイヤーがEvoの優勝とCapcom Cupへの出場を望んでいるのは言うまでもないが、時には他のモチベーションがプレイヤーを偉大たらんとその背中を押す。

ネモ:今年のEvoは本当に優勝したいですね、僕が大会に参加するのを見に社長がベガスまで来るんですよ。社長に大舞台での活躍を見せたいです。僕のゲームがうまくいっているのを知って欲しい。


 大会で戦うプレイヤーの年間のゴールはほぼ変わらない — 大きな大会での優勝、Evo優勝、そしてCapcom Cup出場 — ものの、最終的には修行をやめ、次の将来へ目を向けなければならなくなるもの。彼らがどんな "戦いの終わり" を想像しているのか知るのは新鮮だ。

ネモ:プロゲーマーとしてのキャリアについて言えば、世界レベルで戦ってプレイヤーとしての爪痕を残したいと強く思ってます。
 ゲームで成功した後は、その経験をスクウェア・エニックスでの仕事に活かしたいですね。個人的な目標を達成したら、他のことに集中したいと思います。引退後は、何か自分ができることでプロゲームシーンを支えたいです。若い有望なプレイヤーがこの業界に入り成功するのを年上の元プロが助ける、というサイクルを創るのをサポートできればなと思います。



ジョン:プロゲーマーとしての1番のゴールはCapcom Cupの優勝、そして世界最強のストリートファイタープレイヤーになることです。
 大会で戦うのを辞めた後も、絶対ゲーム業界にいたいですね。できるだけ多くのゲームをできるようになってゲームスタジオの為の翻訳の仕事ができればなと思ってます。どこかのチームで働くとか、何らかの形で次世代プレイヤーを助けるということを考えたこともあります。
 ゲームの他では、絵を描いたりアートを創るのが大好きなので、デザイナーになる為の学校に行こうかなと思ったこともありますよ。



The Guidance


 Team Liquidの歴史上、ストリートファイターチームに複数のプレイヤーを持つのは初めてのことだ。StarCraft(訳注:RTSゲーム)と同じように、ほとんどの大会は1対1なので我々のプレイヤーが "チーム" としてプレイすることはそうはない。これはチームメイトが敵でもあるということであり、興味深い原動力を生んでもいる。しかし、そのような "強敵とも" としての原動力であっても、ネモは若き竹内ジョンにその明哲な助言を伝えるのを厭うことはない。

ネモ:僕自身はたくさんの大会に参加できずにいるので、ジョン君にはいっぱい大会に出て、思い出にして、経験も積んで欲しいですね。
 ジョン君に認識して欲しいのは、初めての年は勉強の年だということ。2年目には、得た知識をものにして結果に変えるところを見れるといいですね。ただ今年はランキング上位ではありませんし、大会で勝ち進むこともできないかもしれません。競争はとても激しく、Top 8の面子はだいたい同じプレイヤーですからね。
 高いレベルでは、相手がミスをすることは殆どないということを理解する必要があります。これを学ぶのに一番良いのは、できるだけたくさん遠征して戦うことでしょうね。

 また、ミスについて言えば、どんなプロでもミスはしますしコンボも失敗します。世界一上手いプレイヤーでさえもミスはするんだから、誰だってする。ジョン君に胸に刻んで欲しい重要なことは、敗けたのはミスのせいじゃないということ。相手が君より強かった — それが敗けた理由だということです。


 ネモは "実際の会話" は明かさなかったが、ジョンからネモに対してのお返しとなる言葉はなかった。それは彼がネモのことを敵と見ているからではなく、ネモのことを年上で、より名声のあるプレイヤーとして非常に尊敬しているからだ。2人は健全な関係を築き、世界中を共に遠征し戦っており、ファンはみなジョンが年上のチームメイトからセットプレイ以上のものを学ぶことを願っている。



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