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はじめてのCapcom Cup観戦ガイド vol. 4




CPT ストV シーズン2概況


ときど@Evo 2017
(写真:大須晶殿)



バランス調整と追加キャラ

 現在の格ゲーでは、発売後にバランス調整を繰り返して長く遊ばれることが多くなっています。ストVにおいてはCPTが行なわれるため、基本的にシーズンオフの冬の間にバランス調整(バージョンアップ)がされていくことになるようです。

 S1で強かったのはナッシュ(インフィルやボンちゃんが使用)リュウ(ときどやウメハラが使用)ガイル(ナックルが使用)レインボー・ミカ(ふ〜ど、ナックルが使用)春麗(リキ姐が使用)といったキャラ。しかしS1→S2での調整でこれらのキャラはみな弱体化されます。
 それでもガイルはかなりの強キャラ、ミカも中位〜上位にとどまっています。しかしながら致命的な弱体化を喰らったのがナッシュ、リュウ、春麗で、トッププレイヤーから「戦えない」と言われるほど弱くされてしまいます。
 かくしてS1では多くみられたナッシュ使い、リュウ使い、春麗使いは激減し、インフィル、ときど、ウメハラもみなキャラ変更することになります。

 ただし、ときどだけは調整がされる前から、追加キャラとして発表済みで、ストIVシリーズで使っていた愛着のある「豪鬼(ごうき)」というキャラに変えると公言した上でのキャラ変更です。その時点では豪鬼が強いか弱いかも全くわからない状態での決意でした。

 そして2017年3月、S2が開幕します。



Xian、衝撃のキャラ変更

 S2が始まり、まず格ゲーファンを驚かせたのはシンガポールのXianのキャラ変更でした。

 以前に少し触れましたが、XianはストIV時代に元という弱キャラを使ってEvoを優勝しています。しかしなんとその優勝の後、なぜか元はさらに弱体化されてしまいます。
 そしてストVのS1でXianは、F.A.N.G(ファン)というキャラを使っていました。このキャラも弱いキャラと認識されていましたが、Xianはそれでも良い結果を残し、CC 2016にも出場しています。
 しかし、驚いたことにまたしてもXianの使うファンが弱体化されてしまったのです。

 S2最初の大会でXianが見せたのは、ファンではなくS1の時から強いとされていた「いぶき」。そして、CC 2016の王者ナックルをも倒して優勝します。
 ここでXianは、S2いぶきのポテンシャルを見せつけ、現在もいぶきはS2最強キャラの一角と見做されています。
 トップレベルでは誰も見向きもしないようなキャラに固執し、「オンリーワン」のプレイヤーとして有名だったXianのいぶきへの変更は、格ゲーファンをして「ついにXianがキレた」と言わしめました。

 そしてXianは最終的に、CPTランキング10位でCC 2017の出場を勝ち取ります。



怪物Punk

 しかし、その後に格ゲーファンが目にするのは、それとは比べものにならない衝撃、S1前半のインフィル、後半のナックル以上の支配者、アメリカのPunkです。
 Punkが備えていたのは、しっかりとした研究(攻略と呼ばれます)があった上での、圧倒的な反射神経と操作精度です。それはまさに「化け物」と呼ぶに相応しい、人間離れしたものでした。そしてその圧倒的な力で優勝の山を築いていきます。
 この時Punkは18〜19歳、これ以前には殆ど名前の知られていなかった、全く新しい絶対王者の誕生です。

Punk
(引用元:Panda Global

 余談ですが、中国のXiao Hai(シャオハイ)というプレイヤーも凄まじい反射神経で有名なのですが、シャオハイは波があり、KOFという別のゲームも並行してプレイしているためか「攻略が粗い」と言われたりもします。
 しかし、最高にノっている時のシャオハイ(通称「スーパーシャオハイ」)は、Punkと同じかそれ以上のモノを見せてくれます。
 CC前日に行なわれる、CC出場32名の最後の一枠を争う「最終予選」にも出場するようなので要注目です。



ザ・ラストナッシュ

 5月に入りCPTを騒がせたのは "ザ・ラストナッシュ"「ボンちゃん」(「ちゃん」までがプレイヤーネーム)でした。
 先述のとおり、ナッシュはインフィルも使っていたキャラで、ボンちゃんはS1の途中からナッシュを使っていたのですが、S2になり大きく弱体化され、多くのプレイヤーが「これじゃ勝てない」とナッシュを辞めていきました。
 そんな中、ボンちゃんだけはナッシュにこだわり続けます

 実はボンちゃん、S1では中々良い結果を残せず、最後まで世界中のCPTを周り続ける(通称「ドサまわり」)も、結局CC 2016に出場することは出来ませんでした。そこへきてのナッシュの大きな弱体化だったため、泣き面に蜂とでもいうような状況でのナッシュ継続の決断でした。
 しかし、ボンちゃんはなんとそのナッシュで「3大会連続優勝」という衝撃の結果を残します。しかもその内の1つは、通常の大会以上に強豪ひしめくプレミア大会。
 ボンちゃんは、"ザ・ラストナッシュ" として賞賛を浴びます。

 それでもボンちゃんはCC 2017出場が実質確定した後で、「ナッシュを辞める」という決断をすることになります。「これ以上ナッシュで伸ばすところが無い」ことが理由だと語っています。

 またまた余談ですが、ボンちゃんはストIVシリーズの時から世界的に名の知れた有名プレイヤーで、ボンちゃんはPunkの憧れのプレイヤーらしいのですが、そんなボンちゃんが選んだ新しいメインキャラは、Punkと同じ「かりん」です。



ときどのEvo優勝

 そしてEvo 2017、すでに語ったとおり、ときどが優勝します。
 ときどのS2のここまでの成績も悪いものではありませんでしたが、S1に比べれば低く、そもそも優勝予想が「Punk一択」という状態でした。本当に衝撃的な優勝だったのです。

 そして何より、とにかく、とにかくカッコよかった
 見てくださいこのページ先頭の写真を!
 撮影者である大須殿には、この瞬間を捉えデータに残して頂いたこと、そして、写真掲載を許可して頂きましたことに対し、この場を借りて心よりお礼申し上げます。

 ここでときどが優勝したことで豪鬼の強さが広く知られるところとなり、現在ではS2最強キャラの1人と考えられています。
 ときどは、Evoの後も素晴らしい結果を残し続け、現在Punkと並び「世界最強」と目されています。

 また、苦杯を喫することになったPunkですが、いつもニヤニヤ不敵な笑みを浮かべている彼もEvoでは真剣な顔を見せることが多く、ときどに決勝で敗れた後、壇上で悔しさのあまり涙を流します
 今までの「絶対的強者」の像からは想像もつかない、「普通の青年」Punkのこの姿もまた格ゲーファンの心を打ちました。



ウメハラ

 世界で最も有名で最も人気のある格闘ゲーマー、ウメハラ
 ここまで殆ど触れてきませんでしたが、活躍していなかった訳ではありません。CC 2016にも出場しています。
 ですがウメハラともなると、「世界トップクラスの成績じゃない」というだけで「終わった」などと言われてしまったりします。特にS1では同じくリュウを使っていたときどの方が良い結果を残し続けていた為、ますますそのようなことを言われることが多かったのではないかと思います。

 しかも、S2になりS1で使用していたリュウが大きく弱体化され、一旦はS2をリュウで戦うものの、やはりリュウでは無理だと判断しガイルにキャラ変えをします。キャラ変えをすると、そのキャラを使いこなせるようになるまで時間がかかってしまいます。
 それでもウメハラは果たして、Evoが終わった後の7月〜8月にかけて立て続けに優勝し、「ウメちゃんおかえり」と我々に言わせてくれました(まぁことあるごとに使われるネタなのですが)。

 CC 2017にも出場します。



マゴさんの復活

 格ゲー界の愛されキャラ、マゴさん

 ときどEvo優勝のエピソードの際に話したとおり、マゴさんは5月から激しいスランプに陥ります。そのスランプの間、そのキャラもあって、イジられ倒します。しかしスランプがあまりに酷く、あまりに長かった為、ついには本気で心配する声も出始めます。
 しかし、ときどのEvo優勝と "I have Mago." が影響したのか、夏の終わりから徐々に成績を上げ、9月のオンライン大会ではついに2位になり、優勝こそ無いもののその後も安定して良い結果を出し続け、無事CC 2017出場を確定させ、みんなを安心させます。

マゴさんの笑顔(ただし2016年)
(引用元:Capcom Pro Tour公式サイト

 ちなみになぜマゴさんだけ「さん」付けかというと、みんなそう呼ぶからです。配信のチャット欄でも、大体のプレイヤーは呼び捨てや愛称ですが、マゴさんはマゴさん、なぜか海外の人たちからも "Mago-san" と呼ばれます



王者の辞退

 最終予選の一枠を除いたCC出場者31名も確定し、本番まで2週間を切った11/27、突然予想もしなかった内容のツイートを目にしました。
 前年度王者ナックルが、CC 2017には出場しないだろうというのです。
 理由は現在も不明のままですが、結局ナックルの辞退はそのまま確定、規定によりCC 2016で2位だったリキ姐が代わりに出場することになりました。

 これは実はCCに出場するほかのプレイヤーにも大きな影響があります。というのも、大会で戦うことになるプレイヤーがわかっている場合、対策を考えて臨むことが当たり前だからです。
 つまり、ナックルが辞退したことで1回戦の相手が変わり、対策の内容を変えなければならなくなったのです。



 他にも紹介したいネタドラマはたくさんありますが、キリがありませんのでここで終わらせて頂きます。
 ここまでは、ドラマ・ストーリーにフォーカスしてきましたが、以降はCC 2017のプレビューやストV自体についての解説をしていきたいと思います。






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